「海外NOW」シリーズ 第三弾 横川 司 さん (同窓生)

 「海外NOW」シリーズとしてヘボン経済人会にてスピーカーの方にお話して頂く予定でおりましたが、新型コロナウイルスの収束が出来ない状況下にてヘボン経済人会ホームページにて会員、明治学院関係者の皆様に限定してお読み頂ければ幸いです。

 今回は第三弾として1984年経済学部経済学科を卒業され卒業後、豊島(株)に入社、豊島(株)東京本社に勤務、2014年〜2021年に豊島上海(国際)有限公司董事長として繊維商品の日本、諸外国への輸出業務で活躍され現在は退職され御夫婦で国内旅行を満喫されています。

 

 

2022年6月21日

  明治学院大学ヘボン経済人会 総務財務委員会  柏原 明

 

 

 

 

上海NOW

 

 2022年1月まで7年半に亘り、繊維商社の上海現地法人で勤務しました。

世界のコロナ対策の潮流をみれば、0コロナ政策、上海のロックダウンなどは大変異様に感じるものですが、政治体制も異なり発想の違いは以前から大きかったと記憶しています。

 上海では路地に面しブロック塀で囲まれた集合住宅群は小区(シャオチー)と呼ばれ一つの単位として共同生活圏を構成しています。場所により小区の出入り口には門番もいて出入りチェックをされることもありましたが、小区群を管理する幹部(共産党員?)は政府主導の政策を実行、監視していると言ったら大袈裟でしょうか?一方の市民生活は至って平穏、小区では気の合う仲間は毎日集まり隣接の空地や公園で早朝は太極拳、夕食後には夜な夜な大音響の広場舞と呼ばれる集団踊りを楽しんでいました。広場舞は日本の盆踊りや80年代の原宿の竹の子族のようなものですが、多勢のおばちゃん達にスケベ爺が少数加わりリズムに合わせ踊る姿は異様でもあり、可笑しくてほのぼのとさせる光景です。

 また、今の日本は中国に比べ遅れている、負けていると感じたことも多かったです。本来は通信アプリであった微信や支付宝のスマホの電子決済機能の充実はご存知の方も多いと思いますが、コロナ禍でも大衆点評などのスマホの出前アプリは大盛況、昼時ともなると弁当を抱えた配達員の電動バイクが疾走し信号無視など当たり前と大忙しです。日常生活では食事処の電子決済、スーパーの買い物、ジュースの自販機、自由市場で大根一本買うのもすべてQRコードをスマホで読み込む電子決済は大活躍です。割り勘の支払いも微信で済ませ、現金なんか持ち歩かなくても大丈夫、利便性は日本の比ではありません。

 ただし一方で不安に思うことも多々ありました。<スマホを落としただけなのに>という映画がありますが、コロナ架安全証明となるスマホの行動履歴、グリーンのQRコード画面を入口で警備員に提示しないと事務所のあるビルにも入れません。一番大事なスマホは肌身離さず握りしめていなければならないというプレッシャーは映画以上かもしれません。更なる不安はスマホが公的機関の監視の道具として使われているという憶測です。

 中国は全国民が割り振られた身分証カードで外国人もパスポートナンバーや居留証カードを電子登録、管理されています。街頭の監視カメラの多さも有名ですが、携帯スマホの個人普及が急速に行き渡った現在、良くも悪くも政府はこれを利用しデータを管理、監視し得るコンテンツも日に日に増えました。ビッグデータだけではなくメールやチャットのチェック(どこの誰と繋がっているのか)、行動範囲の把握(コロナ禍よく活用されてます)までデータ監視は多岐に亘っていると認識しています。赴任当初は使えたLINEやGoogleにYahoo検索などデータの供与を拒否するコンテンツ、プロパガンダで統制の利かないアプリは(VPNを通せばその使用は可能ですが)使用できなくなりました。

我々駐在員は赴任地での政府批判は一切しません。この国の政策はいったいどうなってるんだ!駐在仲間でこっそり愚痴を言い慰めあった記憶はつい先日のことのようでした。

                   豊島国際(上海)有限公司 前董事長 横川 司